究極の管理会計=リアルタイム会計のススメ

こんにちは、株式会社PROS代表の池尻です。
皆さまの会社では、どのような業績チェックの方法を取られていますか?

弊社ではリアルタイム会計を推進するため、
様々なクラウドシステムなどを組み合わせて提供しています。

しかしながら、多くの会社では試算表の完成が
翌月末や年数回しか締めない会社が多い印象です。

本来の業績管理はどのように行うべきか、
このブログでは、これをテーマに書いていきます。

業績管理は、精度よりも鮮度が大切です

業績管理を行う際に重要なのは、スピードであり臨場感です。

リアルタイムに今この瞬間の業績を把握できることです。

どのような業績管理の状態を作り上げるべきか、
そして理想はさておき、実際にどのように業績管理をしている会社が多いか、
弊社の顧問先の事例を交えながらお伝えしていきます。

業績管理の理想像

理想像は、毎日売上や来客数、注文や予約数が把握されていることです。
これは当たり前のように聞こえますが、

目標値やこのままでは月末どうなるか、その対策まで立案され、
実行されていることが重要です。

この時、たくさんの項目を押さえる必要はなく、
3~5つの重要な数字をしっかりと頭に叩き込むことです。

例えば、売上、客数、現預金残高、販売数、従業員の勤務時間など、
その時々の経営テーマにそって設定していきます。

日々の報連相なので、報告に時間をかけても仕方がありません。

シンプルな日報(紙・web・LINEなど)で報告しあう関係を作ります。

 

業績管理の実際の姿

実際に多い事例としては、
数字がレジなどから上がってくるけれど誰もその数字を見ていない。

 

業績管理用の資料を作っていても、
社長でさえも、忙しさとマンネリの中で
「まぁこんなものか」で終わってしまっている会社が多いのです。

社長自身が目標との差を埋める方針を立てることができず、
諦めている会社様に出会うこともありますが、これは大変よろしくない状態です。

もしジリ貧の状態にハマっているとしたら、
同業他社やセミナー、コンサルタントなどに相談してでも
「これならいける」かも知れない、というアイデアを得てください。

目標と実績の差を把握して、改善活動を始めましょう

目標と現実の差が課題になります。

課題を着々と埋めるための方針を固めていきましょう。

例えば売上が伸び悩んでいるとしたら、
「既存客からの追加」or「新規客の獲得」を最優先課題にする。

販促費がかかりすぎているのであれば、自前で集客する方法を磨くか、
今の販促費で倍の集客ができないかと工夫する。

改善の方向性を数字で把握して、
着実な行動計画に落とし込んでいきましょう。

行動計画を立てるために重要なのが、
数字でリアルな現状を直視することです。

そのためにはリアルタイムに業績が報告され、
社長が日々新たに課題認識をすることが必要です。

リアルタイム会計は税理士の領域?

さて、そのリアルタイムに業績が把握される状態は誰が作ってくれるのでしょうか?

税理士は業績数字の専門家と言われますので、まずは彼らを使うのが一番楽かもしれません。

まずは顧問税理士に相談しましょう・・・でも、それで大丈夫?

実は税理士の本業は税金計算です。

経理が締めた決算から税務署の都合に合わせて修正して税額を確定させるのが仕事です。

企業の業績改善や実態の把握は本業ではなく、
確定した決算から税務署用語に合わせて税金を計算することです。

税理士の場合は、スピードよりも正確性、つまり最優先事項が違うのです。

なぜ税理士は鮮度にこだわらないのか、その3つの理由

税理士が業績把握のスピード、鮮度にこだわらない理由は次の3点に集約できます。

  1. 間違った計算をして社長や税務署とモメるのが困る
     継続的な関係と信頼のイメージを重んじます。
  2. 正確な数字が出ずに概算で入れることを避ける
     アバウトに登録した数字で後日責任を求められることを嫌います
  3. 与えられた情報の中でしか判断できない
     確定した事実や証拠から税務判定していく職業なので、
    思い込みが入りやすい未来の議論は本来業務と相性が悪いのです

つまり税理士は証拠に基づいた1円単位のズレもない計算をすることが最優先なので、
数%数値が違ってでも速報性を重視したり、期待値を計算することは苦手なのです。

税理士が悪いのではなく、役割分担の中で、
税務会計を本来業務とする税理士は、根本的な部分で管理会計に向かないのです。

管理会計と税務会計の違い

管理会計と税務会計、これは似ているようで大きく異なります。

管理会計は、業績をタイムリーに把握する速報性や近い将来や未来を予見することが重視されます。

税務会計は、計算間違いがないことを基本として、
確定した事実を間違えずに税務署の解釈に当てはめて調整していくことが基本になります。

税理士の本来業務は税務会計なので、そもそもの発想が違う管理会計は苦手なのです。

そのため、税理士に依頼してもリアルタイム会計は出来ません。

それでは、どうすればリアルタイム会計が実現できるのでしょうか?

どうすればリアルタイム会計が実現するのか?その手法とは?

リアルタイム会計の目的は
「現時点の業績を把握するためにある」とシンプルに割り切ることです。

その手法を4段階にまとめていきます。

1.何を管理すべきか、対象を絞る

売上・客数・現預金残高など、
シンプルに業績の好調不調を現し、
重要度の高い指標を選びましょう。

確認する数を増やしすぎず3つ程度に絞ることが重要です。

そして、それらの数字の現在地と目標をセットで把握することが大切です。

 ※必ず目標を設定しましょう。

2.毎日、その数字が提示される流れを作る

例えば売上はレジや出納帳の締め、通帳から拾います。

シンプルに普段の業務の中で自動で表示されるものが良いです。

お客様の数も正の字などで計っていきます。

アナログなやり方で多少の誤差があっても構いません、
大切なのは数字で確認する流れをつくり、習慣にしていくことです。

そしてこの数字を記録、報告する流れまでセットで作ります。

最近はLINEなどで写真を送ることができます。

シンプルかつスピーディーに業績を把握するのです。

3.集計した結果のディスカッションが大切

業績数字を把握することができたら、その結果についてディスカッションを行います。

これは自分一人ではなく、信頼できる他人とやった方が断然効果が出ます。

社員と行うことも悪くはないのですが、
自分に都合が悪いことは言わない本能が働いてしまいます。

アイデアの壁打ち相手は絶対に社外の者がオススメです。

4.集計し、税務会計との差を把握しておく

そしてタイムリーな業績把握ができた後は、
決算の予測を行います。

決算の予測まで行った後にようやく税理士の出番が来ます。

税理士の本来業務である税金計算で有利になる方式を検討するのです。

例えば会社であれば10ヶ月目の業績で決算予測を行い、税務的な対策を取ることです。

個人事業主であれば10月の結果を11月に取りまとめる形になります。

そしてこの10ヶ月目までは税理士の役割はほとんど必要ない会社がほとんどです。

ただし、この税金計算は決算日の前に行うことで、
税務署への対策、各種の届出も問題なく実施することができます。

リアルタイム会計の特徴とメリット/デメリット、導入方法のまとめ

リアルタイムに業績を把握することは、すべての対策の実行を早めることにつながります。

メリットは、目標と実績の差を把握し、打つべき手を速やかに打てるようになることです。

逆にデメリットは、若干の手間がかかることと、目標との差を直視しなければならないことです。

導入する方法は、税理士または弊社にご相談ください。
※税理士はリアルタイム会計(管理会計)には向かないケースが多いのですが、
それでも多少の力になってくれるはずです。