皆さんのサロンでは、営業トークの練習をされたことはありますか?御新規様がリピートしてくださるかどうか、常連のファンの方々が追加イベントに参加して頂けるか、営業トークが大きな影響を及ぼします。
サロンの売上を左右するトークスクリプトには、営業心理学を上手に活用していきましょう。
なぜ営業心理学を知らなければならないのでしょうか?
同じエステコースに取り組むとしても、数万円の金額を決断することは大きなストレスです。
せっかくお客様に役立つことが確信できるコースであっても、押しつけられている印象を感じると、購入に進みません。お客様が自分自身で決断して気持ちよくコースに取り掛かっていただくような気持ち良い決断をしていただくために、不安心理を上手に軽減してあげましょう。
サロン営業トークの流れを作る時に特に重要な7つの法則を徹底解説していきます
サロンに訪れたお客様は、自分自身に課題を感じていらっしゃるから足を運んでいらっしゃいます。そのお客様に決断を気持ちよく行っていただくための営業トークです。信頼獲得からクロージングまで、水が流れるかのようなスムーズな展開をしていきましょう。
そして、一旦基本となる流れができてからはロールプレイングを通じて細かな部分を磨き、自分なりの言葉で語ることができるようにしましょう。月に1回程度、チームでトークの確認をする機会を持つとさらに成熟が早くなります。決断につながった決め台詞を共有し、皆さんのお店のキラーフレーズを蓄積していきましょう。
それでは、基本的な営業トークの流れを作るための7法則をご説明していきます。
1.「鏡の法則」でラポール関係を作る
鏡の法則は、人間心理の同類親和の法則を活用します。人間は、周囲の人の表情や行動にその人自身の感情も影響を受けてしまいます。例えば目の前の人が喜んでいればこちらも嬉しい気持ちを感じ、泣いていればこちらも目を潤ませてしまいます。反対に目の前の人がイライラしていて文句や人の悪口ばかりを言っていれば自然とこちらも不快な感情を持ってしまいます。
これは活用して、最初は相手の動作や話すペース、言葉遣いなどに自分自身の立ち振舞いや言葉を近づけていきます。そうすることで、相手は自分の事を敵ではなく仲間のように感じてくれます。
つまり、オウム返しや行動のミラーリング(同じ動作を行う)を行うことで、「この人は敵ではない、仲間なのだ」という印象を与えることができるのです。
※ただし完全にコピーをするなど、異常にわざとらしいミラーリングは逆効果となりかねませんので気をつけてください。
2.「返報性の原則」で恩返しスタンスを取る
返報性の原則とは、因果応報の原則です。何かをすればそれを元にした何かが返ってくる。これを人間関係の根本にとらえると、良いことをすれば良いことが帰ってくる、悪いことをすればその報いが返ってくる。ギブアンドテイクという言葉がありますが、人間は他人から何かをしてもらうと、何かを返してバランスを取りたいという心理が働きます。
つまり、相手に対してプレゼントをすれば何かが返ってくる。このプレゼントは、例えば無償のサービスだったり商品試供品、一方的な片思いの感情でも大丈夫です。
「私はあなたの成功を願っている」「あなたと時間を共有できてとてもありがたい」こういうプラスのストロークを相手に言葉で伝えるのです。そうすれば相手も好意的な感情を返してくれるでしょう。
3.「イエスセット」で衝突しない流れを作る
イエスセットでは、一貫性の原則を活用します。一貫性の原則とは、人間誰しも最初の決定を貫きたいと思う感情があるということです。つまり、一度「そうです」と答えたストーリーでは「いいえ、イヤです」と言いにくくなるということです。
この流れを活用すると、大多数の人が「そうだ」と思いがちな、大きなイエスから話を始めて、徐々にクロージングまでの流れを「はい」「そうですね」「いいと思います」と答えやすい質問で徐々に具体的に話を絞っていきます。
ここで大切なのは、あまりわかりやすくやりすぎると、途中で違和感や不信感を感じてしまいますので、所々で脇道に逸れたり、質問に答えたりオープンクエスチョンを交えたりすることで自然な会話を作り上げていきましょう。
4.「バンドワゴン効果」で行列に並ばせる
バンドワゴン効果とは、 音楽隊が乗ったワゴン車を人は追いかけてしまう現象から名付けられていて、人は誰しも流行りに乗りたがるという心理を表しています。
数か月後の世の中の流れに自分だけポツンと乗り遅れたくない心理を利用します。例えば、「美容意識の高いセレブの間で話題」「東京の展示会で大盛況」「注文が殺到して入荷待ち」など、出遅れへの危機感を意識させつつ先取りしてもらうのです。
5.「リスク回避の法則」で未来を共有する
リスク回避の法則とは例えば、あるゲームで「①何もしなくても30万円もらえる」「②じゃんけんに勝ったら100万円もらえるが負けたら何ももらえない」の選択肢があった時に、1/2の確率で100万円もらえる場合の期待値は(1/2×100万円+1/2×0円)=50万円であっても①の確実な30万円を選びがちだという、損をした感覚を嫌う人間の傾向があります。
例えば、お金をかけずにダイエットをすることで目指す未来が手に入るかもしれませんが、手に入らないかもしれません。多少のお金をかけても理想の姿に着実に近づく方が望ましいのではないでしょうか?これまでダイエットに自分でチャレンジしても失敗してきてしまった方にはとても響く内容になります。
6.「アンカリング効果」を使ったミニクロージングを演出する
アンカリング効果とは、途中で話した数字が後々の判断に影響を与えるという効果です。例えば、セレブであれば毎月50万円も美容に費用をかけている、結婚式前に30万円の費用をかけた、180万円の美容器具を導入した等々、お客様個人のことではなく何気ない話の途中で金額を話題に盛り込むことで、一定以上のお金を美容に使っていることは日常的なことである印象を持っていただきます。
これまで年間で美容メニューに最高いくら使ったのかを聞くのも良いかもしれません。その金額が上限となり蓋をすることはありますが、その手前の金額までは財布の紐が緩むことがあります。
7.「コンコルド効果」で出会いの価値を必然に高める
コンコルド効果とは、約4000億円という多額の費用をかけて開発した超音速旅客機コンコルド 、ヨーロッパとアメリカを短時間で行き来する夢の飛行機に由来します。コンコルドは乗客数が少なく、利用開始しても赤字経営が続くことが開発中に分かっていました。それでもすでに多額の費用を投入していたため、途中で開発を断念する決定ができずにズルズルと開発と運営を進めてしまい、結果的にさらに多くの赤字でプロジェクトを終えてしまったというものです。
すでに投入した多額の費用が決断を変えてしまう効果をコンコルド効果といいます。今日あなたのお店、この場所に足を運んだ時間、費用、これまで他のやり方を試していまいち満足ができなかったことで使ってきた時間、費用に思いを馳せていただきましょう。
「これまで大変でしたね・・・、でもこれまで苦労して悩んでいらっしゃったおかげで今日お会いできました。真剣に願っていれば引き寄せられるという、これが引き寄せの法則でしょうか・・・。ぜひこれを発展させていきましょう」
営業心理学は人間の脳科学に基づいた誰でも影響を受けてしまう考え方のバイアス、偏りです。人間の本来的な傾向をうまく活用することで、自然な決断を促していきましょう。続いて、最終的なクロージングの時によく使うトークを3つご紹介していきます。
クロージング時に強烈に効く3つのコツを公開します
1.クローズクエスチョン
「やるとしたら、短期集中コースか半年じっくりコース、どちらにされますか。
「短期集中コースだと、少し最初のお支払いは大きいですが、夏までに間に合います。半年コースだと効果を見極めながらメニューを変えることができますが時間がかかります。私としては〇〇コースがオススメだと思いますが、その理由は・・・。いかがでしょうか?」
このように、はいかいいえで答えられるように、選択肢を絞った質問をクローズクエスチョンと言います。やらないという選択肢をこちらから提示せず、絞った選択肢に対してメリットデメリットを説明していくことで決断を後押ししていきます。
2.限定効果
「今なら〇〇に間に合いますね」「今ならば特別に・・・」という背中を押す一言。
先ほどのリスク回避の法則の要素も入っているのですが、今日決断することで得られるメリットを提示し、もし今日決断しなければ得られないものがあるデメリットを説明します。
間が悪魔のマになる、と言います。決断を先延ばししても良いことはお互いにありません。適切に本日の決断を促していきましょう。
3.コーチの宣言
「一緒に頑張っていきましょう!」という背中を押す一言。
お客様が手に入れたい将来の姿がある。そのために私にはできることがある。その信念を持って、お客様の夢のサポート宣言をします。お客様は自分一人の力で望む姿を手に入れることが出来なかったから、今日あなたのサロンにいらっしゃっています。本心ではサポーターを必要としているのです。施術だけでは本質的にお客様の目指す姿は手に入らないかもしれません。しかし、お客様の成功を願ってともに悩み、プロとして適切なコーチングを行い、精いっぱい応援してくれる存在を求めていらっしゃるのです。その一人になる宣言をしましょう。
まとめ:エステ経営での営業心理学の重要性
お客様はサロンのコースを購入するために、ご自身の生活費の中から安くない金額を支払うという大きな決断をしていただきます。その決断をスムーズに誇らしいものとして行っていただくために、営業心理学に沿ったストーリー展開を進めていきましょう。営業心理学を活用したいくつかの基本トークストーリーを軸にしてカウンセリングを行うことで、成約率がグッと上がっていきます。