クラウド型会計ソフトをオススメする理由、そのメリットデメリット

事業開始したら、年に1回決算を行う必要があります。そのため、普段からしっかりとした会計帳簿を作り、スムーズに決算業務ができるようにしましょう。弥生会計や JDL、 会計王、 TKCなど、昔からあるパソコンに導入するタイプの会計ソフトもありますが、これから会計ソフトを選ぶ場合は、クラウド会計を選ぶのがベストです。

今回のブログでは、なぜクラウド会計もおすすめするのかその理由をご説明していきます。

会計ソフトの必要性と、デスクトップ型/クラウド型の会計ソフトそれぞれのメリットデメリットについて

会計ソフトはなぜ必要なのでしょうか?それは、複式簿記に対応した決算書をスムーズに作成するためです。日商簿記などの資格を勉強されたことがある方はご存じかもしれませんが、会計ソフトがなくても決算書を作ることは可能です。ただし、様々な帳簿を手書きやエクセルで一つ一つ情報を記録し、書き写し、計算式や電卓で何度も検算をすることになります。これは非常に手間ですし、会計ソフトを使えば自動で正しく計算される計算チェックに何時間も悩まされることになります。

これがあまりにも非効率なので、何がしかの会計ソフトを選ぶことは必要不可欠な出費となります。会計ソフトは大きく2つのパターン、デスクトップ型もしくはクラウド型のどちらかから選ぶことになります。

デスクトップ型会計ソフトのメリット・デメリット

デスクトップ型会計ソフトとは、皆さんのパソコンの中にインストールして使う物になります。データが全て一台のパソコンの中に入るので、一度インストールした後はそのパソコンの中で全ての操作が完結するようになっています。そのため以下のメリットとデメリットがあります。

メリット ・手作業でひとつひとつの仕訳を登録することが基本設計なので、手入力は非常に早くて便利である

・ 一度購入したら原則追加費用はかからない
 (消費税率変更など、税制が大きく変わった場合は再購入が必要です)

・サーバーとの通信が不要なので、手入力した場合の処理速度が速い

・インターネットがなくても、決算処理ができる

・確定申告の期日3月15日周辺であっても、サーバーが混み合わず会計処理が素早くできる

デメリット ・一台のパソコンの中にデータがあるので、会社の外やスマホから業績を確認することができない

・請求書やクレジットカード情報などとの連動が弱く、手作業で入力する事が必要になる

・手作業で入力する場合、一定以上の会計知識が必要になる

デスクトップ型会計ソフトの最大の特徴は、ほとんどのソフトが西暦2000年より前に設計がされていて、その基本設計を改良しながら今があるということです。そのため、「手入力で簿記を効率化する」ということが発想のベースになっています。ですから、自動入力の対応が遅く、 AI で仕訳を判断する際の使い勝手が良くないです。

クラウド型会計ソフトのメリット・デメリット

クラウド型会計ソフトと言えば、2トップである「マネーフォワード」と「会計 freee」が有名です。このソフトの特徴は、データを全てインターネット上のサーバーで処理をするということです。パソコンやスマホで手入力したものだけではなく、インターネットバンキング、クレジットカード会社、請求書や納品書の作成ソフトなどからデータを集めてサーバー上で一気に処理をしてしまいます。そのため、単純な手入力のスピードは劣りますが、他のシステムで業務を行う時に作成されたデータを再利用することで全体の処理速度を上げることができます。

良いことばかりではなく、 デメリットも存在しますので、合わせて説明していきます。

 

メリット ・データがインターネット上に存在するので、事務所にいなくてもスマホなどから業績情報を確認できる

・通帳のデータなどを自動で登録できるので手入力の手間を大きく削減できる

・一度登録した仕訳のルールを活用して、同様の仕訳を半自動で登録することができる

・一年あたりの使用料金は安い

デメリット ・データをインターネットに保存するためにセキュリティを心配される方が多い

・毎年使用料がかかる

・手入力をする速度は遅い

・サーバーが混雑していたり障害が起きると処理ができないことがある

もちろんクラウド会計にも弱点はあります。しかしながら、電子帳簿保存法やテレワークなど最新の法規制や仕事環境への対応状況は現時点ではクラウド会計の方が進んでいるケースが多いです。特に私がクラウド会計をおすすめする5大理由をこれから説明していきます。

クラウド会計(マネーフォワード/会計freee)を進める5つの理由

クラウド会計にはデスクトップ型会計ソフトとは違うメリットやデメリットがあることは先にご説明いたしました。その長所短所も踏まえたとしても、私はクラウド型会計ソフトをおすすめしています。実際に会計作業を行う場合に感じる5大オススメ理由をご説明していきます。

理由1:請求書と通帳が連動して、自動で売掛の管理ができる

皆さまの会社の経理ではお客様に商品代金を請求をする請求書や日々の振込業務など、お金にまつわる様々な業務を行っています。その請求書や通帳からの振込データを自動で会計ソフトに登録することができます。クラウド会計ソフト内に機能として入っている整った書式の請求書を使い、得意先への発行業務を行えば自動で売上金額が登録されます。そして通帳のデータと連動させれば、売掛金の消込み作業まで行うことができます。

これまでは請求書の金額を書き写し、通帳の残高を手入力するという作業がありましたが、残高の確認のためにわざわざ帳簿に記入する必要がなくなるのです。手入力には登録間違いなど様々なミスの原因が潜んでいます。請求金額の間違いは取引先との余計なトラブルの元になります。このマイナス要因をゼロにすることができるのは大きなメリットです。

理由2:最初の設定を丁寧に行えば、決算業務の9割が自動で登録できる

通帳の情報やクレジットカード決済の情報などを連動して会計ソフトに登録することができるようになります。最初数回の登録を丁寧に行うこと、クラウド会計ソフトのサーバーにあるAIは相手先や金額から仕訳の傾向を覚え、自動で勘定科目などを提案してくれるようになります。サーバーが提案してきた仕訳の内容を、目で確認し、登録ボタンをクリックするだけで仕訳登録をスムーズに行うことができます。会社の会計業務の9割は売上関連の売掛金や買掛金などの請求書をもとにして通帳を使った取引がほとんどです。これが大きく自動化できることで、会計帳簿作成業務の9割の業務を半分以下の作業時間で行うことができるようになります。

理由3:パソコンがなくても、スマホで業績と資金繰りが把握できる

創業間もない会社さんでは、少人数で経理を行っているかと思います。時には社長ご自身で経理業務も行なっており、営業出張などでわざわざ事務所のパソコンの前に座る時間をとることがなかなか難しいことがあります。そういった場合でも、出先のノートパソコンやタブレット、スマートフォンなどから直接会計データを確認したり登録することができるようになります。

理由4:財布にレシートがたまらず、すっきりする

クラウド会計のマネーフォワードや会計フリーは、スマートフォンアプリが充実しています。特に便利なのが、スマホのカメラ機能を使い、現金やカード払いのレシートをそのまんま会計ソフトにアップロードできる機能です。電子帳簿保存法などで細かな規定は定められているのですが 、レシートを受領しておおむね2ヶ月以内にスマホのカメラで撮影しサーバーにアップロードすればそのレシートなどを保管しなくても済むようになります。そのため出張先で行った様々な出費を会社に持ち帰って計算することなく、その場所で写真に撮って捨てることができます。

理由5:弊社パートナーなど、クラウド会計対応の税理士が増えている

クラウド会計ソフトはコロナ禍でのテレワークもあり、ようやくこの3年ほどで広まってきた感があります。以降はクラウド型の会計ソフトに対応していない税理士がほとんどでしたが、近年ではかなり多くの税理士がクラウド型会計ソフトに対応するようになっています。しかも、新しい技術に挑戦することに前向きな新興の税理士が多く対応しているため、将来的にはクラウド会計対応の税理士が主流になっていくものと思われます。

クラウド会計を使った業績改善の事例

ここからは弊社のお客様で実際にどのようにクラウド型会計を活用しているのかをお話ししていきます。元々手書きの紙伝票で売上の管理を行っていたエステサロン、お客様ごとの売上伝票から日計表に集計しなおして、それを私どもが受け取って会計ソフトに登録をしていました。売上合計に関係しない来店数などは別にExcelで集計しています。

そのため①売上伝票、②日程表、③会計データ登録、④Excelでの詳細登録の4回もの作業が必要でした。これを iPad を利用した無料のレジシステムであるスマレジを使用して会計 freee に自動連動するように設定します。こうすることで、タイムリーに売上の詳細が会計ソフトに自動登録されるようになり、手間の削減だけではなく業績管理のスピードアップを通じて販売戦略の変更などがタイムリーにできるようになり、販促費の削減と売上のアップが同時に達成できています。

クラウド会計の導入方法

クラウド会計ソフトの導入は非常に簡単です。例えば今現在のデスクトップ型会計ソフトに会計データがあるのなら、この情報をアウトプットし、クラウド型会計ソフトにそのまま流し込むことができます。こうすることで、ほぼ自動で勘定科目の作成も行いますし、これまでと変わらない過去のデータを確認しながら作業をすることができます。

クラウド型会計ソフトの開発元は、デスクトップ型会計ソフトからの乗り換えを狙っていますので、現在は数クリック、サーバーの処理時間も含めて数時間で作業が完了するようになっています。

まとめ:これから会計ソフトを選ぶなら、クラウド会計一択

これから会計ソフトを選ぶならクラウド会計一択であると言っても過言ではないです。すでに御社が年商数十億円で経理の専門スタッフがいる場合は別かもしれませんが、社員数10名以下では経理の専門スタッフを複数人雇う余裕がないケースがほとんどです。経理担当者が突然退職することも考えられますが、クラウド会計ソフトの AI に登録された仕訳手法は永久に御社のものです。クラウド型会計ソフトを活用して事務の改善と業績管理のスピードアップを行いましょう。