サロンを開業する時、どのくらいのお金が必要なのか、今回はこれを御説明していこうと思います。自宅で家賃ゼロ、内装費は完全DIYでやる場合を除いて、それなりのまとまったお金が必要になることが多いです。
ここではその必要な開業費用を考えるうえで外せない、サロンの物件選びについて書いていきます。
探す不動産の広さはどのくらいがよいでしょうか?
初期費用は、最初のサロンでどのくらいの規模を目指すのかに左右されるので、最初の数年で軌道に乗せたいサロンの規模を考えましょう。これが人生で初めての1店舗目になる方は、施術台2台前後から始めることがよいかと思います。
施術スペースはエステティシャンの人数+1が目安になります
お客様を受け入れるスペースが1つしかないと、何かの理由でそのベットが汚れたり濡れてしまった、壊れた、その他のアクシデントで使えない場合、売上が立たなくなってしまいます。
また、スタッフを雇って教育したり、機械施術を組み合わせるなど、色々な選択肢が取れなくなります。
コストが2倍になることはない
施術スペースが増えても、家賃が2倍になることはありません。なぜなら待合室やトイレ、スタッフルームなどは共有できるからです。実はサロンの中で施術スペースが占める割合はそれほど多くないのです。
1スペースの場合 約17㎡ | ・施術スペース 5㎡
・待合室と受付 6㎡ ・スタッフルーム 3㎡ ・トイレと流し台 3㎡ |
2スペースの場合 約22㎡ | ・施術スペース 5㎡×2
・待合室と受付 6㎡ ・スタッフルーム 3㎡ ・トイレと流し台 3㎡ |
このように、3スペースくらいまでは、実際には施術するスペースが増えても変わらない共有部分が全体の6割程度を占めています。スペースに余裕があることで前の方の施術が終わったベットにすぐ入っていただくこともなくなりますし、施術が終わって少しゆっくりを退出していただくこともできるようになります。
このようなメリットを考えると、エステティシャンの人数+1スペース程度はあるほうが好ましい運営ができるようになります。
立地と規模、居抜きについてのメリットデメリット
立地による特徴を整理しましょう(繁華街・住宅街・郊外ロード店)
まずは代表的な3スタイルである繁華街・住宅街・郊外ロード店のメリットデメリットを見ていきましょう。
メリット | デメリット | |
繁華街 | ・日中の通行人が多い
・丁寧な販促で2階以上の店舗でも集客可能 |
・1階の店舗は特に家賃の坪単価が高い
・一見客が多い |
住宅街 | ・住民の固定客が作りやすい
・家賃が安い傾向にある |
・日中の人通りが少ない
・新規集客数は少ない |
郊外ロード店 | ・通行量が多い
・商圏が広いため、売上の拡大余地が大きい |
・駐車場セットの大きめの店舗になりがちで家賃総額が高い |
この傾向はオーソドックスなものであり、実際は物件ごとに特徴があります。例えば以前に同業者が営業していて居抜きの状態で使うことができるものがあったり、内装は何もないスケルトン状態からスタートすることもあります。
基本的には商売しやすい条件が整っている物件は高額になりますので、万全の条件で安い物件というものは「存在しない」と考えて、物件ごとの特徴を見極めて、自分が作りたい店舗イメージとの折り合いをつけていくことになります。
店舗は1階が良いか2階が良いか、それが問題です
もう一つ、店舗のスタイルを考える際に影響が大きいものがあります。1階か2階以上にある物件(いわゆる空中店)かというところです。
それぞれのメリットとデメリットを整理してみましょう。
メリット | デメリット | |
1階 | ・外から店内が見えるため入店しやすい
・壁看板などを使い、販促できる |
・家賃が高額になる
・痩身や脱毛専門などだと、入店時の人目が気になることも・・・ |
空中店
(2階以上) |
・既存客は入店に抵抗が無い
・家賃が安い |
・初回来店時のハードルが高い
・階段だと敬遠するお客様もいる |
1階の店舗と空中店でそれぞれメリットデメリットがあります。常に新規のお客様を気にした運営をしなければならないと考えると、1階店舗の入店のしやすさや目に留まりやすさは販促費で5万円以上の価値があるケースが多いと思います。
居抜き店舗は開業費を節約できる?実態はどうでしょうか?
エステ店舗を開く場所を探していると、不動産屋さんから居抜き店舗を案内されることがあります。すでに設備が残っていて営業のイメージが湧いてきてキラキラと輝いて見えるかも知れません。
ただ、ここで冷静に考えて欲しいことが2つあります。
移転の理由
その旧店舗は、何か理由があって営業を止めているのですよね。その理由をしっかりと調査しましょう。思ったよりも売上(集客)に苦労したのかもしれませんし、家賃が合わなかったのかもしれません。なにより、すでにお客様に「エステがある場所」という認知がされているメリットもありますが、場所の説明のときに、「以前〇〇さんがやってあった場所です」という説明をすることになります。旧店がしっかりとお客が付いて別の場所に拡大移転したのであれば素晴らしいのですが、何かマイナスの要素はないか丁寧に確認をしましょう。
内装費の節約はできるのか?
そしてもう一つ、冷静に考えないといけないのは、居抜きで内装や配管配線などをそのまま使える部分が多いような気がするのですが、実際は思ったほど流用が効かないということです。お店のイメージがバッチリ同じであればよいのですが、色味や照明、ベットを置いた時の導線やカウンター、待合室の雰囲気など。一見小さな修正と思っても、壁紙を1面だけ変えても他の部分の使用感とバランスを取ることはむずかしく、結局、内装業者さんを居れたら全替えと1割程度しか変わらない費用がかかることが多いのです。
毎月の費用はどのくらいかかるの?
店舗運営を行うため、もう一つやっておきたいのが、毎月どのくらいの費用がかかるのかのシミュレーションです。これは不動産の契約など後戻りができなくなる前に、ばくぜんとした不安をなくすために是非やっていただきたいことです。
必ずかかる費用を集計してみましょう
まず、自分の生活費と家賃、電話や光熱費の見込みを立てます。従業員スタッフを雇う場合は彼女たちのお給料も予定で入れておきます。施術に使うタオルや着替え類、消耗品も計算してみます。
施術を行うために必要な薬剤や美容機材のリースがあればそれも足しましょう。
思った以上にお金がかかってくる実感があると思います。
販促のためのお金はどのくらいかかるのでしょうか?
もう一つ、大切なのが、販促費の見通しです。おおむね売上の1割程度が目安と言われますが、固定客が付くまでにホットペッパービューティーなどの媒体や紙媒体を使用すると、1店舗当たり10万円程度は毎月かかるかと思います。販促費は、消耗品と違って、いくらでも掛けようとすればお金を使うことができます。
販促費を使えば多少なりとも売り上げに変わるため、ついつい多めに使ってしまいがちですが、効果測定をしながら、身の丈に合った使い方をしていきましょう。そのためにも、メリハリを付けた使い方と予算設定が重要になります。
まとめ
不動産選びは、特に1店舗だと夢と希望がふくらんでふわふわした感じで決めてしまいがちです。開業に向けた熱意はもちろん大切ですが、冷静に複数の要素を検討して決めるようにしてください。
必要な費用は別のブログにまとめていきますが、思った以上に大きな金額になることがほとんどです。ただ、開業費用は、金額の大きさにびっくりドン引きして諦めてしまうことなく、着実に準備をすればお金を集める手段はたくさんあります。(お金の話は別のブログでまとめます。)