開業届を提出し、開業のために必要なモノも購入し、いよいよ事業を開始します・・・と、ここで注意が必要なことがあります。事業を行う上で欠かすことができないお金との付き合い方を決めておくことです。
給与と事業収入の違い。
なぜ収入を全部使ってはいけないのでしょうか?
これまで会社などに勤め、給与をもらっていたわけですが、これからは直接お客様から売上としてお金をもらうようになります。ここで注意が必要なのが、この稼いだお金の使い方です。 あなたが給与所得者の時、働いて稼いだ収入は給料として決まった金額が振り込まれます。これはもちろん全てあなたが自由に使うことができます。給料をどう生活費や遊び、貯蓄に振り分けるかは皆さんのライフプランに応じて自由に使って良いものでした。
しかしこれからは、お客様に商品やサービスを届けた代わりにお金を受け取るようになります。そしてこのお金は次の仕入れや家賃広告費、もし従業員を雇っていたら彼らの給料、お金を借りていたら返済に使うためのお金でもあります。
売上として入ったお金をすべて自由に使ってしまうと本当に使わなければいけない経費の支払いに困ってしまうことになります。 お客様から入金されたお金は、事業を効率よく行うために商品を仕入れたり従業員の給与を支払ったりするための軍資金なのです。
※事業を開始する前にこの話をすると、「そんなことは当たり前だ」と思われるかもしれません。しかし実際に数年事業を続けて売上が増えていくにつれて、この部分の意識が曖昧になり、 お金を使いすぎてしまう人が後を絶ちません。
資金を計画的に残す方法、どうすればよいでしょうか?
経費に使うためのお金を先に確保していくことが大切になります。個人事業を開始したての人にありがちなのが、売上の代金を受け取り、そのまま豪華な食事をしてしまったり高価なものを勢いでクレジットカードなどで買ってしまい、支払いに困って消費者金融に駆け込むなど事業の経費と個人の生活費を混同してしまう例が多く見られてしまいます。
こうならないためには、事業を始めたばかりの時の習慣づけが大切になります。事業上の経費と個人的な生活費が明確に区別できないと事業上の儲けを正確に把握できないばかりか支払いに困り金策に走りまわる日々が待っています。こうならないために一定のルールを先に決めてしまいましょう
例えば、この4つを実行するだけでも、ずいぶんスッキリと区別ができるようになります。
- 生活費と事業用の通帳やクレジットカードを別に作成する。
- 収入は事業用の通帳に一旦全て入金し、支出も通帳から支払う。
(現金で受け取った場合も全額一旦預け入れする)
(できるだけ振込入金にしてもらう) - 生活費の通帳には月一回生活費として決まった金額を事業用の通帳から振り込む。
- 事業に関係する自動振替は事業用の通帳から引き落とされるようにする。
生活用の自動振替は生活用の通帳から引き落としをするように切り替えをする。
このように、自然と事業費と生活費が分かれるような流れを最初に作っておくと便利です。生活用の通帳に入ったあとは、これまでの給料のように自由に扱います。そして、事業用の資金は事業用の通帳の中で増減をするという区別がはっきりとできるようになります。
それでは適切な生活費 の設定はいくらなのでしょうか
実際に売上がぐんぐんと伸び利益が残るようになると事業用の口座の残高が増え、どうしても気持ちが大きくなりがちです。ここで油断をしてはならないのが、1年間が終わった後に3月15日までに確定申告をして所得税を納めなければなりません。先々は消費税を納めるようになっていきます。この税金の支払いまで見越して生活費の上限を決めなければならないのです。
生活費に回してもよい上限金額とは?
所得税の最高税率は55%。そのため、収入金額から必要経費を差し引いた利益の1/2程度を自分の生活費の上限と考えましょう。
※借入の返済があれば、この残った利益から返済資金を捻出することになりますので、さらに上限額は下がります。
この上限金額以上の生活費がかかるようだと毎年確定申告をするために手元の資金が税金に吸い取られ資金はいずれ底をつくことになります。
生活費に回すべき下限の金額とは?
反対に最低金額は、自分の生活に実際に必要とする最低金額です。例えば家賃や住宅ローンの住居費、そして光熱費や食費、子どもさんが居れば学費や家族の介護や医療費など。贅沢をするのではなくて最低限の生活に必要な金額を集計してください。そして、最低限これを超えるような売上を作り、利益を残していきましょう。
事業費と家計費との区分けの重要性のまとめ
最後にもう一つ厳しいことを申し上げると、事業が順調に拡大し売上が伸びていく段階というものは回収までの期間の建て替えの運転資金が必要ですから昨日にこの資金の蓄積を行っていくことが大切です。事業は1年間赤字でも潰れることはありません。しかし資金が尽きて決済ができなくなればその瞬間に GAME OVER。事業をたたまなければならない日が待っています。
事業とはお金との戦いになります。
特に事業が軌道に乗るまでは出来る限り現実に手元の資金を厚く残すような運営をしてきてください。ある程度、事業が安定してくればそこから家計に回せるお金はきっと増えてくるはずです。 それまでの期間は、 事業を伸ばすことに集中していきましょう。