個人事業の開業までの出費について:個人事業の成功術

個人事業を開始するための準備をしている間の費用はどのように取り扱うべきなのでしょうか?このブログではその点についてご説明していきます。

開業までの出費は、開業後に経費に計上できます

まず安心していただきたいのですが、開業までの費用はしっかり必要経費として計上することができます。開業を決意して準備に取り掛かると、思った以上に色々な出費があると思います。

例えば商品の仕入れ、包装、袋や保管の棚、箱など直接売上に関するものだけでなく、ペンやハサミ、テープなどの事務用品、机やイス、販促物なども必要になります。ほかにも移動のための電車代やガソリン代、駐車場の代金。打合せのための喫茶代など、色々な費用がかかります。

一つ一つは小さな出費でも、ちりも積もれば大きなそれなりの金額になります。まだ実際の売上が上がっていなくても、経費は先にかかってきます。

 

「個人事業の開廃業届出書」に書いた日までにかかった開業までの費用も、一定の基準に沿って必要経費として認められますので、しっかりと領収書やレシート類の保管をしてください。

 

開業費の計上についての基準とルール

それでは開業までにかかった費用は、いつでも好きな時に好きなだけ計上できるのでしょうか?実は開業までの準備費には特定の取り扱いが決められています。開業準備費については、事業開始後5年以内に必要経費として収入から引くことができます。

開業準備費とは事業を開始するためにかかった費用全額が対象です。例えば以下のようなものがあげられます。

  1. 打合せのための喫茶代や移動のための交通費、ガソリン代など
  2. 購入した文房具や事務機器などの消耗品代
  3. 切手や電話代などの通信費
  4. 工事代金や資材購入費
  5. 不動産の家賃など
  6. 税理士事務所やコンサルタントの開業セミナーや勉強会などの研修費

事業開始に必要な準備であることが条件ですが、対象期間は特に制限がありません。

・・・そうは言っても異常に長いと不自然です。おおむね半年から長くても1年程度の準備期間が妥当かと思いますが、合理的な理由があれば認められるものと思います。

 

開業費の実際の仕訳での計上方法

開業準備費は、繰延資産という勘定科目を使って会計処理を行います。この繰延資産、聞きなれない言葉かも知れませんのでご説明していきます。繰延資産とは、事業での効果が数年間にわたって効いてくるから、一気に全額を費用に計上してしまうと最初の年に大赤字になってしまうかもしれない。だから今後数年かけて「減価償却費」として徐々に費用化していくことにしようというものです。

ちなみに、個人事業での開業費は少々特別な扱いで、「開業後60ヶ月で均等に費用化する方法」と「いつでも自由に費用化する方法」を選べるようになっています。

 

実はこの「いつでも自由に費用化できる」というのはとても有利な条件です。所得税は累進課税という、稼いだ金額が増えると税率が上がる仕組みになっています。これを活用して、めちゃくちゃ儲かった年で最高税率55%が課せられる年に費用化すると、例えば1万円の領収書で5,500円の税金を減らせることになります。

また、初年度に一気に費用化してしまうと赤字になるかも知れません。

 

低い税率の時に費用化するよりも5年以内に大きな利益が上がる状態を作ってその年に開業費を費用化するような運用が望ましいです。

 

開業費を計上するポイント

開業費が必要経費として確実に認められるには、領収書やレシートをしっかりと保存しておくことが重要です。できればノートなどに貼り付けるか一つの封筒にまとめておき、支出日や相手先、目的を書き込んでおきましょう。

 

また、注意点としては、1年以上使える10万円以上の高額のパソコンやオフィス家具、車などについては個別に資産として計上してそれぞれの耐用年数に合わせて減価償却をしていくことになります。

(青色申告の状態であれば、それぞれが30万円未満であれば、その支払いをした年に全額費用化することもできます。)

 

これら、減価償却の方法については、固定資産などの処理方法のブログで詳しく説明していきます。

 

まとめ

事業を開始する前の出費も、必要経費として計上することができます。そのためにも、確実に領収書などを保管しておきましょう。必要経費として計上するタイミングは自分で選ぶことができるため、利益を多く稼いだ年に当てることで大きな節税効果が得られます。

事業を開始して5年以内に利益1000万以上を得ることで高い節税効果が狙えますので、できるだけスタートダッシュをかけてしっかりと稼いでいきましょう!

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