事業を運営していると様々な作業が増えていきます。
本来やるべきお客様へのサービスに集中するために事務作業の負担を大きく減らす9つのコツをこちらではご紹介していきます
①源泉所得税の納付は毎月ではなく年2回にしましょう
お給料を従業員に支払った際に、源泉所得税を国に納付する義務が事業者に生じます。預かった源泉所得税はよ9月10日までに「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」に銀行の窓口などで納めなければなりません。この毎月納めなければならない源泉所得税を1日でも納めるのが遅れると、その瞬間にペナルティの税金が課せられてしまいます。自己申告すればペナルティはわずか5%ですが、この5%は経費にならない罰金として国に納める義務が発生します。
この責任しか発生しない業務の負担を年に2回だけに減らす特別な方法があります。それが「納期の特例」という制度です。「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を国税庁のホームページからダウンロードして管轄の税務署に届けるのです。そうすれば、毎月10日に納めなければならなかった源泉所得税を、年2回7月10日と1月20日にどうすれば大丈夫になります。特例ですのですべての事業者ではないのですが従業員10名未満の事業所であれば必ず出していただきたいです。
また、 e-taxとネットバンキングを利用していれば銀行の窓口に行かずにパソコンで納付をすませることができます。
②棚卸は手間と時間のかからない最終仕入原価法が便利です
一年間の商品仕入れの金額を決定するために、年末に在庫棚卸をしなければなりません。棚卸とは、一年間の最後の仕事納めの日に、種類ごとの商品の残数を確認しなければならないのです。
そして棚卸をした後の評価金額を計算し、1年間で仕入れた金額から残っている商品の金額を除いて仕入原価を確定させます。この資産の評価方法は大きく四つの方法と二つの計算パターンから算出するのですが、在庫の金額自体が大きくない場合は手間の方が大きいというのが実態です。ここでは手間を省くために一番シンプルな計算方法をご紹介します。それが最終仕入原価法というものです。最終仕入原価法とは最後に仕入れた時の単価をその商品の原材料の単価として定める方法です。つまり一番最後の仕入れ伝票の金額を使って計算するので伝票を深く探る必要がないので楽です。
念のため4つの評価方法と2パターンの計算方法を整理しておきます。
最終仕入原価法 | 最後に仕入れた時の単価をその商品の原材料の単価と定める方法。評価額=年末棚卸数量×年内最後の仕入れ単価 |
売価還元法 | 棚卸で把握した数量に販売単価をかけた金額に原価率を掛けた結果を評価額とする方法。原価率が同じであれば種類が異なる商品でも一括して計算できます。
原価率=(年始の在庫金額+年内の仕入合計)÷(年内の売上高合計+年末在庫の販売予定額合計) 在庫の金額= 棚卸数量の販売予定合計×原価率 |
総平均法 | 商品や原材料の種類ごとの全ての平均単価を計算する方法。
平均単価=(年始の在庫金額+年内の仕入合計)÷(年始の在庫数量+年内の仕入数量) 在庫の金額=年末の棚卸数量×平均単価 |
個別法 | 在庫商品や原材料の個別の仕入れ金額を評価額とする方法
在庫の金額=〇月〇日の仕入額+△月△日の仕入額+・・・ |
先入先出法 | 先に仕入れたものから先に出荷したと考えて、単価に数量かけて計算する方法 |
移動平均法 | 商品を仕入れるたびに、仕入れ金額を在庫金額に合計し合計金額を合計数量で割った金額を平均単価する方法。飛沫に最も近い日の平均単価を期末するようにかけて金額を計算します。 |
どういった場合にどの計算方法が向くのか、整理します
様々な計算方法がありますが、一番シンプルなのは最終仕入原価法です。ただし少々面倒でも、業績の把握や節税策のためにオススメされる方法もあります。
- 一番簡単=最終仕入原価法
- 取扱商品数が多い業種=売価還元法、総平均法
- 商品一つあたりの金額が高価で在庫数が少ない場合=個別法
- 急激なインフレが進んだ場合=最終仕入原価法
- デフレ時の節税に有効な方法=先入先出法
- できれば避ける方が良い方法=移動平均法(計算が面倒です)
なお、一度決定した評価方法をコロコロと変えていくことはできません。
何よりも大切なのは、年末にしっかりと在庫の棚卸しを行うことです。棚卸数量と単価をエクセルなどで計算を済ませてしまいましょう。
③消費税は簡易課税制度を選択しましょう
売上が1千万円を超えてくるとその翌々年から消費税がかかってきます。この計算方法は二つのパターン、本則課税制度と簡易課税制度があります。
消費税の課税方式をまとめたブログで、詳細はご説明していますが基本的には簡易課税制度の方がメリットがあることが多いです。何より、帳簿付けの大変さから解放されるメリットが最も大きいです。一般課税制度で消費税を計算するには、取引ごとに消費税の金額を確実に計算しなければなりません。例えば福利厚生のためにコンビニで食品を買いレジ袋を購入した際、食品については軽減税率8%で仕訳を登録し、レジ袋3円は消費税率10%で計算しなければなりません。このような手間から解放されるのが簡易課税制度です。
簡易課税制度とは売上に掛け目をかけることで消費税率を計算するというシンプルな方法になっています。
ただし、大きな仕入れを行ったり、建物を建てたりした場合は一般課税制度の方が幹部会られる可能性があるので、税金上のメリットを計算したい場合は税理士にご相談させてください。
④売上は一旦全て普通預金に入金しましょう
商品やサービスの代金は、全て銀行振込にしてもらいましょう。金額の確認手間も不要ですし、お金がなくなってしまうことも伝票がなくなってしまうこともありません。そして代金回収は即座に行われます。手数料負担などを求められることがありますが、集金に一人でが回ったり盗難紛失などの可能性がないこと、代金回収の記録が残ること、入金後は速やかに他の振込に使えることなど、メリットが非常に多いです。
⑤経費の支払いはクレジットカードか銀行振込を利用しましょう
経費の支払いは、できるだけ現金ではなくクレジットカードか、銀行の振込機能を利用しましょう。現金で支払うと、レシートを紛失した場合は社長が個人的に持ち出したお金との区別がつかなくなってしまいます。カード払いや銀行振込を行えば、明細表の中に相手先の名前と日付金額が確実に記録されます。
また最近では、街の小売店で購入するよりもインターネットで購入した方が安いことも多く、買い物の時間を考えると配達していただいた方がメリットが大きいです。
⑥銀行の決済機能を使い倒そう
銀行は金融の専門家として、様々な機能があります。 ATM で振り込みをするのも一つですが、次の機能などを利用することを是非考えてみてください。
自動引き落とし
手数料お支払い先負担としてこちらの普通預金から引き落とす程度があります。電気代や水道代などの公共料金や、新聞代、定期購入のものや税理士などの顧問料でもこの制度を使えることがあります。
定額自動振替サービス
家賃など毎月定額の金額を支払う場合は自動振替の手続きをすることをお勧めします。自動引き落としとは違い手数料はこちら負担になりますが、支払いを忘れたり振込手間がかからないということを考えると、数百円の手数料は安いものかと思います。
総合振込サービス
毎月10日や月末などに支払先への振込を一気に行う場合は総合振込サービスの利用がおすすめです。 金融機関に取引先の名前、振込先口座番号などを事前に登録します。毎月金融機関から取引先の登録情報が印字された専用の振込用紙が送られてくるのでその用紙に金額を記入して窓口で手続きします。次に紹介するインターネットバンキングでも同様の仕組みを利用することができます。
インターネットバンキング
皆さんがお持ちのパソコンやスマートフォンからその場所で明細を確認したり、取引先への振込みを行うことができます。パスワードなどのセキュリティ管理は必要ですが、銀行に行く手間もなく手数料も格段に安いことが多いです。
地方銀行や都銀など、実店舗を持っている銀行では毎月1000円程度の定額手数料が取られますが、インターネット専門の銀行では手数料自体がかからないことも多いです。
⑦消費税は税込処理で統一しましょう
消費税の経理方法は税込処理と税抜処理の2種類があります。この時に税込処理を選択するようにしてください。なぜかと言うと税抜処理だと、本体金額と消費税の金額を別に仕訳を記録しないといけないからです。手間が倍になりますし、登録間違いも起きやすいです。
⑧納税は自動引き落としの振替納税制度を使いましょう
個人事業主は、毎年3月15日の確定申告の提出期限までに所得税や消費税の納税を済ませる必要があります。納付書を使って銀行の窓口で納めることが多いです。これを自動で済ませ、しかも納付日を遅らせることができる振替納税と言う制度があります 。確定申告の期限までに申告書を提出することが条件ですが4月15日頃の納税で済ませることができるようになります。
年に1回の納税なので最初は大きな手間ではないかもしれません。しかし、納めなければいけない税額が増えてくると、所得税は年2回の予定納税を合わせて合計3回の納税、消費税も年4回の納税をしなければならなくなってきます。 その都度銀行に行くのは非常に面倒なので、振替納税制度を利用しましょう。
振替納税日の一覧を表にまとめます。
名目 | 申告期限 | 窓口納付期限 | 振替納税日 |
所得税の確定申告 | 3月15日 | 3月15日 | 4月中旬 |
所得税の予定納税① | 7月15日 | 7月31日 | 7月31日 |
所得税の予定納税② | 11月15日 | 11月30日 | 11月30日 |
消費税の確定申告 | 3月15日 | 3月15日 | 4月下旬 |
消費税の予定納税① | 5月31日 | 5月31日 | 6月下旬 |
消費税の予定納税② | 8月31日 | 8月31日 | 9月下旬 |
消費税の予定納税③ | 11月30日 | 11月30日 | 12月下旬 |
この日付を全て頭の中に入れて、しかも年7回納税を済ませる手間を省ける振替納税をぜひ利用してください。※納付期限を一日でも過ぎるとペナルティの不納付加算税と延滞税がかかるので気をつけましょう。
振替納税の手続きについて
振替納税制度を使うには、国税庁のホームページからダウンロードできる「納付書送付依頼書」に必要事項を記入し税務署に提出します。一度手続きをすれば次回以降の納税は自動で振り返られるようになりますが、納税地を変更した場合や引き落としの口座を変更する場合は改めて手続きが必要になります。申告期限までに申告書が提出された場合に限り利用されることになりますので、模試記述を遅れた場合は窓口納付をしてください。申告書を提出した後口座振替の半月ほど前に税務署から税金引き落とし日と金額の確認通知が郵送されてきます。口座に残高があることを確認しておいて、残高不足にならないように気をつけてください。
⑨給与振込口座はメインバンクの同じ支店で作らせましょう
従業員を雇い入れた場合、身元の確認や年金手帳、労働条件通知書、雇用契約書、扶養控除申告書などと合わせて、お給料の振込先口座の作成を行いましょう。その際、メインバンクの事業用口座と同じ視点に作らせることがポイントです。これにより次のようなメリットが得られます。
- 銀行との信頼関係が増します
銀行担当者の口座開設実績につながりますし、従業員もローンを組む際などのメリットが多数得られます。 - 手数料を抑えられます。
特にインターネットバンキングでは、同一銀行同一支店内であれば無料で振込できることも多い。 - 手続きから振り込みまでの日数が短い
事業用口座と別支店に振り込みをする場合は、 総合振込だと3営業日ほどかかりますが、同一銀行同一支店内であれば翌日の振り込みが可能です。
まとめ
今回ご紹介の9つの手抜き術を使い、作業の手間を減らし、本業に集中しましょう。